なぜ人は歯をみがくのか?

芸能人は歯が命

いやいや、一般人でも歯は大切にしないといけません。

今やお店に行くと歯磨き関連の商品がたくさん並べられています。

様々な形の歯ブラシに虫歯や口臭を防ぐ歯みがき粉、舌をキレイにするブラシに歯間ブラシや糸ようじ…。そしてマウスウォッシュ!!
刺激が強い方が何だかキレイになった気がするのは私だけでしょうか。

食後に歯磨きをし、糸ようじや歯間ブラシで歯の隙間の汚れを落とし、舌用のブラシで舌をキレイにしてマウスウォッシュでうがい。さらにはタブレットでブレスケア!

中には汚れだけではなく歯の白さを気にする人までいて、専用の歯みがき粉は家族で使えるような値段ではありません。

これほど人間は必死になって歯みがきをしているのに、動物は歯みがきをしませんよね。

いや、溺愛されているペットは別かもしれませんが、野生の動物は歯みがきなんてしないのに虫歯にならない。

人間は歯をみがかないと虫歯になるのは、いったいなぜなんでしょう?

そこには人間が進化してしまったための悲しい理由があったのです。

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人が歯をみがくのは料理をするから

詳しく教えてくださるのは予防歯科の第一人者、馬見塚デンタルクリニックの馬見塚賢一郎先生。

先生曰く、

「野性動物は料理をせず、生のまま食べますよね。
だから野生の動物には歯みがきが必要ないんですよ。」

だそう。

野性動物たちが食べる生のままの食材は噛み応えがあるものばかり。それを噛むことで食べ物が歯とこすれあい、野性動物たちは自然と歯みがきをしながら食べているような状態なのだそうです。

しかし、人間は食材を切って火を通し、味付けをする。これが人が歯をみがかなければならなくなった理由だと馬見塚先生はおっしゃいます。

料理をすると虫歯になる理由

ではなぜ、料理をすると虫歯になるのでしょうか?そこには3つの理由があります。

唾液をあまり出せないから

虫歯予防に最も大切なのは唾液。私たちの唾液には

歯垢が出す酸を薄める効果と、

歯を健康な状態に戻す効果があります。

唾液をたくさん出すためにはたくさん噛むことが必要です。野性動物のように、自然界にあるままの硬い物をガリガリバリバリとたくさん噛んで食べれば唾液もたくさん出ますが、料理をすると切ったり加熱することで食材が柔らかくなり、噛む回数が少ないうちに飲み込めてしまうので、唾液をあまり出せないのです。

ミクロの食べカスがあるから

2つめの理由が、ミクロの食べかすが口の中に残っているから。

口の中に虫歯菌がいただけでは虫歯にはなりません。
じつは、その虫歯菌にエサを与えてしまうことが問題なのです。

虫歯菌のエサというのは料理をしてしまった結果、すごく細かくなってしまった食べカス。
料理をしなければ食材は細かく砕かれずに飲み込まれます。しかし、料理された食材を噛むことで目に見えないほどの粒子となり、歯の隙間に残りやすくなります。
これが虫歯菌のエサとなるわけです。

味付けに砂糖を使うから

そして3つめが、味付けに砂糖を使うから。
虫歯菌が一番酸を出しやすいのは砂糖。この砂糖を料理に使うようになって、料理をしたものを食べる=虫歯を作っているというふうになってしまったのです。ちょっと極端な言い方かもしれませんが…。

自然界にも甘いものがありますが、動物が食べる量はごくわずか。人間は砂糖で味付けして虫歯菌を元気にしてしまっているのです。

料理が虫歯の原因である証拠があります。

狩猟生活が中心で、さほど料理をしていなかった縄文人の歯の虫歯率は8.2%とほとんど虫歯がなかったのに対し、農耕生活が始まり料理をするようになった弥生人になると虫歯率が16.2~19.7%と飛躍的に増えているのです。

料理を覚えたことで虫歯になりやすくなってしまった人類。おいしいものを食べられる、こんな幸せを手に入れた代償として、毎日毎日歯をみがくことを余儀なくされたのです。

虫歯予防にキシリトール

そんな虫歯予防に効果的なのがキシリトール

虫歯菌はキシリトールをエサと間違えて取り込みます。すると虫歯菌は歯を溶かす酸を出せなくなり、虫歯菌そのものを弱体化させます。

さらに、ガムだと噛むことで唾液も出て、食べカスも取れるのでとっても効果的なんです。

そして、ミクロの食べカスを減らすために歯みがきの仕方にもポイントが。

細かな食べカスを取るにはゴシゴシするのではなく、小刻みにみがく地味なみがき方が効果的。目に見えない食べカスを取るイメージで振動させるようにしてみがくのがいいのだそう。

虫歯になりやすいかどうかは2歳前後で決まると言われています。

そもそも生まれたばかりの赤ちゃんの口には虫歯菌はいません。

口移しで食べ物を与えるとそこで感染してしまいます。
生後1才7ヵ月から2才7ヵ月の1年間が最もうつりやすい時期なので、そこで虫歯菌の感染を防げば、その後虫歯にはなりにくくなるということです。

昔本家の伯父さんが孫に自分の口で噛み砕いたものを食べさせていたときはドン引きしましたΣ(゚д゚ノ;)ノ。

世代によって認識が違っていたり、昔の常識が今の非常識になっていたりすることもあるので、年を取っても柔軟な対応と考え方で生きていかないといけませんね。

80才になるまで自分の歯が20本残っているよう、
歯みがきを頑張りましょう!

追記:

赤ちゃんに食べ物を噛んで与えるのを避けた方が良いというのは、あくまで虫歯になりやすいという観点からです。

また、ペットとして飼われている場合や人里で残飯など。食べた野性動物は虫歯になることがあります。

「チコちゃんに叱られる」6月2日放送分より

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